と殺までの真実

牛、乳牛、子牛

麻酔なしの烙印と去勢 − アメリカでは毎年4100万頭のこの繊細な牛が、食肉や酪農のために苦しみ、死んでいます*1)。 牛たちはまだ幼いうちに烙印を焼き付けられ、睾丸は切り取られ(去勢)、角は切り取られるか、焼き取られるのですが、これらはみな麻酔も鎮痛剤も使わずに行われるのです。
  十分な大きさになると、肥育場に移され、人工妊娠を繰り返しては子どもを取り上げられ、それを体が崩壊するまで続けさせられ、役目を果たせなくなると、と殺場へ送られるのです。


銃で、ナイフで、生きたまま皮も剥がされcoco-art.com −と殺場へは過酷な天候の中を何マイルも輸送されるのですが、多くの牛が途中で息絶えてしまいます。そして生き残ったものは銃で頭を撃ち抜かれ、足から吊り上げられ、喉を切られ皮も剥がされます。このとき、まだ意識が十分はっきりした牛もいるのです。元従業員の話では、「少しずつ死んで行く」のだそうです。


抗生物質で生きながらえる食肉用の雌牛たち − 食肉のために飼育される牛は、最初の一年を牧草で育ちます。家畜の中では唯一新鮮な空気や太陽を浴びることが許された動物ですが、しかしその後は、もし犬や猫だったらまちがいなく重罪であるほどの残酷な虐待を受けることになるのです。
  牛に識別をつけるため、農場主は牛を押さえつけ、その体に第三度熱傷をもたらす焼きごてを押し付けるのです。 牛たちは痛みのあまりに大声え鳴き、逃げようとします。雄牛は睾丸を痛み止めなしにむしり取られます。角は切り取られるか、焼き取られます。

  そして一年がたつと、牛たちはオークション場に送られ、巨大な糞と泥の飼養場に何千という単位で詰め込まれることになります。そこへたどり着くまでに、過酷な長旅から手足が麻痺したり、死に絶える牛もたくさんいます。

  飼養場では牛を太らせるために、不自然な飼料を与えます。これは慢性的な消化器の痛みをもたらします。決して消え去らない最悪の慢性胃炎を想像してみてください。あるものの内臓は腐敗し、行く末には破裂も引き起こします

  飼養場の空気は、膨大な肥料でもたらされるアンモニアやメタンガス、その他有毒な科学物質で充満しており、牛たちもこれらのガスを常に吸い込んでいます。このガスで牛たちは慢性的な呼吸器官系疾患を患い、呼吸困難に陥ります。
  また畜牛たちは早く成長し、この惨めな状態でも生きながらえるようにと、ありとあらゆる薬剤を注入させられます。飼養場主たちは、病気の牛を見つけると、獣医に見せるどころか、さらに多くの抗生物質を与え、と殺場まで持たせようとするのです。


子を取られて泣き叫ぶ乳牛 − 米国の酪農場には900万頭の乳牛がおり、牛舎か糞と泥の塊の上で生活しています。そこには病気がはびこっています。*3)乳牛たちは繰り返し人口受精させられ、coco-art.com子牛のために生成された乳を人間が奪い取るため、子牛は取り上げられてしまいます。体が疲弊し、これ以上乳が出ないとわかると、と殺場へ送られ、ひき肉となるのです。

  牛も子を養うという、人間と同じ理由で乳を生成するのです。乳を生産し続けるために、農場主は毎年雌牛に繰り返し人工授精を施します。牛の赤ちゃんたちは生まれたその日に母から取り上げられ、雄の場合は木箱に詰められ、雌は母と同じ運命を背負わせられるのです。

  農場では、母牛が子を失ってから何日たっても、子牛たちを探して鳴き声をあげる姿が見られます。医師で作家のオリーブ・サックスは、牛の専門家であるテンプル・グランデン医師と農場を訪れた時に雌牛の鳴き声を聞き、こう記しています。 「『彼らは今朝、母牛から子どもを奪い取ったに違いない』とテンプル氏が言いましたが、実際そのとおりだったのです。柵地の外で子どもを捜して徘徊し、泣き声をあげる一頭の雌牛を見ました。‘あれは幸せな牛ではない。悲しみにふけった、不幸で、 怒っている牛だ。彼女は子どもを取り戻したがっている。だから探しているんだ。しばらくすると唸るのを止める。でもまた始めるのだ。まるで悲嘆にくれ、喪に服しているかのようだ。」*4)

  子牛が取り上げられると、雌牛たちは一日に何度も搾乳器に取り付けられます。酪農場主は、遺伝子操作や強力なホルモン、集中搾乳を導入し、本来摂れるべき量の10倍もの乳を生産しています。*5) ウシ成長ホルモン(BGH)の投入は、牛に激しい痛みを伴う”乳腺炎”をもたらします。(BGHは米国全土で使われていますが、ヨーロッパとカナダでは人間の健康への懸念と動物福祉から、使用を禁止しています。*6) 業界独自の計算では乳牛の30〜50%が乳腺炎にかかっており、かなりの激痛を伴う状態だと言われています。*7)

  牛の寿命は通常25年ですが、乳牛はわずか4、5年で殺されます。*8) 業界の調査報告では、と殺されるまでに、40%近くの乳牛が汚物と徹底的な監禁、慢性妊娠と搾乳による緊張で歩行困難になっていると報告されています。*9) 乳牛はその体があまりに疲弊しすぎているために、スープや、ペットとしてかわいがられている動物たちの餌、そして低級のひき肉にされてしまうのです。


苦しんだ病気の赤ちゃん、”雄牛” − 雄の赤ちゃん(酪農場の副産物?)は通常生まれたその日に母親から離されます。*10)赤ちゃんたちは暗い小さな木箱にほとんど固定された状態で詰め込まれます。飲み物が与えられますが、肉色を白く保つため、鉄分は低く、栄養分もほとんどありません。
  この酷い扱いは子牛たちを不健康にし、頻繁に貧血や下痢、肺炎を引き起こします。恐怖、病気、孤独に震えながら、2、3ヶ月後にはもう殺されてしまうのです。”雄牛”とは苦しんだ病気の赤ちゃんのことで、酪農場では”副産物”にすぎないのです。

  そして成熟した牛も、赤ちゃんの牛も、それが食肉のためであろうと、搾乳のためであろうと、全てはと殺場へ送られ、そして殺されるのです。


4割は”ダウナー(歩行困難)”牛 − 生き残った牛たちはと殺場へ地獄の旅に連れ出されます。トラックに詰め込まれ、何日も餌も与えられず、夏の暑さで多くが倒れ、冬の寒さで凍りつきます。アニマル・サイエンス・ジャーナルの調査によると、36%の雌牛と39%の乳牛がすでに歩行困難の兆候を見せており、と殺場に着くまでにはすでに手足が麻痺してしまっているそうです。この症状を”ダウナー”といいます。
  ”ダウナー”牛は、手足をロープか鎖で結び付けられ、トラックへ引きずられます。元農務長官のアン・ベレマン氏によると、毎年と殺場へ連れ出されるおおよそ40万頭は、ほとんど死に掛けているそうです。*11)

  元USDA獣医捜査官のレスター・フリードランダー氏は次のように説明しています。「夏は32〜35度にもなり、 1,900〜2,400キロも遠くへ運ばれます。トレイラーには40〜45頭が詰め込まれ、そのうち暑さで消耗し切って倒れるものもいます。昨冬は体感温度がマイナス10度でした。屋根のないオープントレーラーに乗せられ、体感温度マイナス10度の中を時速80〜100キロで走ることを想像できますか?動物たちはそのトレーラーの中で排尿、排便するのです。 しばらくするとそれらが凍り始め、彼らのひずめもその中に埋まっているのです。そしてそこに10時間もいなければなりません。」*12)


泣きながら引き摺り下ろされる牛 − 脅えた動物はトラックを降りようとしないので、電気棒で突き落とされるか、チェーンやフォークリフトで引き摺り下ろされます。coco-art.com「言うことを聞かない動物は殴打され、顔から直腸まで突き刺されます。」*14)牛をチェーンやフォークリフトで引き摺り下ろすのはごく一般的なことで*15)、言うことを聞かない動物には、[皮膚が剥がれ、コンクリートに血が滴り落ちるまで引っ張ります。」*16)


生きたまま皮を剥がし、手足を切断することに − トラックから降ろされた後、シュート(滑降斜面路)に落とされ、頭をボルト・ガンで撃たれ、失神させられます。しかし作業の流れが速く、従業員の訓練不足もあり、牛はしばしば意識のあるまま激痛を与えられることになります。あるものはまだ十分意識があるのに喉を切られ、手足を切り取られます。

  ワシントン・ポストが行った”少しずつ死んでいく”と題されたレポートで、気絶させることの難しさが記されています。「効果的に失神させるためには、正確に撃たなければなりませんが、牛は脅えて突然止まったりするので、とても難しいのです。速い生産ラインの中で、わずか12秒しか部屋に入れず、その間に去勢牛に足かせをかけ、次の従業員が血抜きと食肉処理をするのです。」*17)

  と殺場で20年以上働いた数少ない従業員の一人であるラモン・モレノ氏は、次のように語っています。喉が切られて7分後の時点では多くの家畜がまだ生きていて、十分意識があります。彼の仕事は手足を切断することでしたが、完全に意識のある動物の手足を切断しなければならなかったことが、よくありました。「彼らはまばたきし、音をたて、頭は動き、目は大きく開き、あたりを見渡していました。」

  別の従業員、マーチン・フェンテス氏は、「生産ラインは、ただ動物がまだ生きているという理由では決して止まりません。動物がきちんと死んだかどうか確認するために、生産ラインの速度を落とすなんて聴いたことがありません。と殺場での虐待を役人に警告すれば失業してしまいます。食肉産業は、どんなに残酷であってもどんな条件であっても、決して文句を言わない、強制送還を恐れる貧しい移民労働力の犠牲の上に成り立ってるのです。

と殺までの真実 −豚
と殺までの真実 −鶏、ひよこ
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労働者の権利−アメリカでは最も危険な仕事


*1)Animal Place, “Cattle: Not So Free on the Range,” Animal Place Online, 2005.
*2) T. G. Nagaraja and M. M. Chengappa, “Liver Abscessed in Feedlot Cattle: A Review,” Journal of Animal Science, 1998.
*3) National Agriculture Statistics Service, “Milk Production,” U.S. Department of Agriculture, 17 Feb. 2004.
*4) Oliver Sacks, An Anthropologist on Mars: Seven Paradoxical Tales, Vintage Books: New York, 1996.
*5) Joyce D’Silva, “Faster, Cheaper, Sicker,” New Scientist, 15 Nov. 2003.
*6) “UK Newspaper Cites OCA on Big Corporations Hijacking the Organic Movement,” The Guardian, 12 Nov. 2003.
*7) S. Waage et. al., “Identification of Risk Factors for Clinical Mastitis in Dairy Heifers,” National Veterinary Institute.
*8) Center for Food Safety, “What's Wrong With Factory Farming?” 2005.
*9) D.L. Roeber et al., “National Market Cow and Bull Beef Quality Audit?1999: A Survey of Producer-Related Defects in Market Cows and Bulls,” Journal of Animal Science, 2001.
*10) Compassion in World Farming, “Exotic Foods?Posh Nosh,” 2005.
*11) Reuters, “U.S. ‘Downer’ Ban Hurts Cattle Producers,” The China Post, 23 Jan. 2004.
*12) Eisnitz, p. 211.
*13) D.L. Roeber et al.
*14) Eisnitz, p. 188.
*15) Eisnitz, p. 196.
*16) Eisnitz, p. 145.
*17) Joby Warrick, “They Die Piece by Piece,” Washington Post, 10 Apr. 2001.



(source: PETA /GoVeg.com)