労働者の権利
アメリカでは最も危険な仕事
3人に1人が負傷 − 屠畜場および食肉処理場は、
今日、アメリカで最も危険な仕事場のひとつです。米労働省によると、一般の製造工場では10人に1人が病気や怪我を負うのに対し、食肉処理場では、
ほぼ3人に1人が病気や怪我を負っています。*11)
労災を訴えられない従業員 − 食肉処理場の従業員が反復性のストレス障害(RSI)を患う比率は、他の製造業者に比べて35倍となっています。*12)
実際はこの数字より高いといわれています。なぜなら従業員の多くは人事とコミュニケーションをとることが難しく、工場主はしばしば従業員のクレームを拒否し、また保険コスト削減のため、
従業員は労災を報告することを控えるよう圧力をかけられていますので、正式な負傷者数をあげることが困難になっています。
人権ウォッチ・レポート、”血、汗、恐怖: アメリカ食肉工場の従業員の権利 ”では、「取材を始めると、ほとんど全ての従業員が、傷跡、腫れ、発疹、切断、失明、その他苦痛といった、深刻な負傷を負った経験を話し始めた」そうです。*13)
動物たちの反撃 − 動物たちも自分たちの命のために反撃しようとするので、動物を殺す従業員は、常に怪我をする危険があります。
鶏や七面鳥はつつき、脱走しようともがきます。
ある食肉処理場の調査員は、鶏が逆さに吊るされるとき、「5ポンドの重さの鳥たちは、つついたり、噛んだり、引っかいたりして反撃してきます。従業員がフックに鳥たちを引き上げると、
鶏は絶望から小便や排便をするので、従業員によくかかります。」と言います。*14)
牛や豚の多くは、後ろ足から逆さに吊るされて喉を切られるとき、ほとんどが完全に意識があり、蹴ったり、のた打ち回ったり、排便したり、嘔吐しながら死んで生きます。
死にたくない動物を殺すことは、本質的に危険な仕事なのです。しかし生産ラインのスピードは速まるばかりで、反復運動、不衛生な仕事環境、その他の危険が、従業員の命を、
毎回危険にさらしているのです。
危険な作業スピードがもたらす害
危険なスピード − 食肉処理場の従業員にとって最も深刻な危険の一つは、高速な作業の流れです。毎年米国の食肉処理場で殺される動物の数はおおよそ100億で、食肉処理場は需要に合わせるため、常にその作業スピードを高速化しています。
従業員は恐怖におののく動物たち(その多くは巨大)を、ナイフやフック、重機で取り扱い、その間ずっと、より短時間でより多くの動物を殺すようプレッシャーをかけられています。従業員は毎分ごとに数匹の動物を吊り上げ、殺し、切り刻み、通常休憩はほとんどなく、ナイフの刃を研ぐこともできません。交代の際、トイレにいく時間も与えられないことがあるといいます。
負傷する従業員 − この気が狂うような速いペースの中で、安全注意事項にきちんと従っているかどうか確認するために、作業を緩めるチャンスも与えられていません。実際、その速さのため、動物は死ぬための十分な時間さえ与えられません。従業員はまだ動物が逃げようともがいている最中に、彼らを切り刻むことを強要されています。
ある従業員は、「チェーンがすごく速いから、動物たちは死ぬための十分な時間もないよ。みんなナイフが床に落ちても、それを洗う余裕さえないんだ。」と言います。*15)
オレゴン州の食肉処理場の従業員、マーティン・フェンテス氏は、死に抵抗する牛に腕を蹴られたり、手首にナイフを突き刺されたりして、3度も怪我を負わされたと言います。「ここで牛が生きているといろんな事件が起きるよ。」*16)
訴えれば解雇 − 幅広く高い評価を受けている『スローターハウス(食肉処理場)』の著者、ゲイル・アイスニッツ氏に、ある従業員は、「ほとんどの従業員は、動物に完全に意識があるうちに切り刻むことを、当たり前のように強いられている」、と話しています。「密売人のヤツは、作業中ずっと意識があった牛に当たっちゃったよ。ある時は全員がそうだった。生きたまま吊り下げられた牛をずいぶん見てきたよ。耳や角の時はもっと多いよ。」と語っています。*17)
ワシントン・ポストの”少しずつ死んでいく”という食肉処理場に関する記事の中で、元従業員のティム・ウォーカー氏は、
「動物が生きているうちに切り刻まれているってことを動物愛護協会に訴えたら解雇されたよ」と言っています。「みんなにも文句を言ったよ、”見ろよ、あそこで生きた牛を剥いでるるぞ”って。答えはいつも同じだった。”そうだよ、知ってるよ。だけど、俺たちには何もできないんだよ”って。」*18)
鈍った刃は動物も人も傷つける − 作業速度を維持しようとする奮闘と騒動の中で、従業員のナイフが不可避にすべれば、負傷者や死者を出すことにもなります。食肉処理場の元看護師は、「私の事務所に来るたくさんの傷を負った人たちを見れば、それがどれほど速いかってことがわかるわ。」と言います。*19)
アーカンソー州の鶏肉工場の従業員は、ヒューマン・ライツ・ウォッチに、「多くの人がかまれてるよ、特に手を切られんだ。血と肉が食肉の上に落ちるんだ。」と話していました。*20) 別の従業員は、「作業ラインがすごく速いからナイフも研げないよ。刃が鈍くなるともっと強く切らなければならない。つまり、鳥を傷付けることになるし、自分自身も怪我する危険がでてくるんだよ。」と言います。*21)
このような危険な事実にもかかわらず、畜産業界は従業員たちにより速い速度を要求して、利益を産み出し続けているのです。
食肉汚染を助長する原因 − 高速作業はまた、汚染された動物の死骸を取り除くことさえ困難にしています。 全米食品検査官合同評議会の議長、デビッド・カーネイ氏は、「糞便や膿瘍、サナダムシ、髪の毛、散弾銃のペレット、かみタバコ、サボテンのトゲなどに汚染された肉が作業ラインを下っていくのを見てきました。牛の頭は本当に不気味なもので、頭がい骨からそうした汚染物が出てくるんです。」と話しています。*22)
『ファースト・フードの国 (Fast Food Nation)』の著書、エリック・シュロッサー氏は、「食肉汚染と同時に人も傷ついているのです。なぜこの現状が許されて続けてこられたか?誰もこのことを知らないからです。たとえ不法入国者や弱者に同情を感じなくても、あなたやあなたの愛する人が肉を食べるとしたら、きっと心配せざるをえないでしょう。」と話しています。*23)
〜つづく〜
*11) Schlosser 172.
*12) Schlosser 173.
*13) Human Rights Watch 29.
*14)Russell Cobb, “The Chicken Hangers,” In the Fray 2 Feb. 2004.
*15)
Olsson.
*16) Jim Lynch, “Workers’ Safety Also an Issue at Meat
Plant,” The Oregonian 25 Feb. 2001.
*17) Gail
Eisnitz, Slaughterhouse (Amherst, New York: Prometheus Books 1997)
215.
*18) Joby Warrick, “They Die Piece by Piece,” The Washington Post 10 Apr. 2001:
A01.
*19) Gardner.
*20) Human Rights Watch
38-9.
*21) Human Rights Watch 24.
*22) The Center for
Public Integrity, Safety Last: The Politics of E. Coli and Other Food-Borne
Killers, Center for Public Integrity, Washington, D.C., 1998,
17-8.
*23) Olsson.
(source: PETA
/GoVeg.com)
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