現代思想家ケン・ウィルバー氏は、代表作『万物の歴史』の中で、環境倫理の解釈と、極力犠牲を抑える道徳的生き方の必要性を説いています。
人間、動物、そして植物、同じ生命ならばその重さは同等か、というとそうではなく、生命はその発達度合により、それぞれ重さに違いがあるということ、それを理解した上で、より犠牲の少ない選択をして生きることこそが、環境倫理であると唱えています。
全てのホロンを例外なく霊の顕現として尊重し――また同時に、内在的な価値の相違についての実際的な区別ができ、そしてサルを蹴飛ばすよりも石を蹴飛ばした方がずっとましであり、牛肉を食べるよりニンジンを食べる方がずっとましであり、哺乳類より穀物で生活する方がずっとましであることを悟ることができる――環境倫理がぜひとも必要なのです。
環境倫理のための最初の実際的な経験則はこうです。
私たちの基本的な生存欲求を満たす営みにおいて、できるだけわずかな深さしか消費または破壊しないこと。できる限りわずかな危害しか意識に与えないこと。できる限りわずかな内在的価値しか壊さないこと。
積極的な言い方をすれば、できる限り多くの深さを保護し、そして促進すること。しかしそれは深さはカバーしても幅はカバーしていない――コミュニオンではなくエージェンシーだけ、部分ではなく全体だけしかカバーしていない――ので、むしろ「最大の幅のために最大の深さを保護し、促進する」ことが<基本的な道徳的直観>なのです。